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おしゃべり散歩道2003

スポーツ環境向上とトト

 「toto(トト=サッカーくじ)」がコンビニエンスストアでも発売される方向へ。これを了承したのは、先月末の中央教育審議会スポーツ・青少年分科会で、委員の私も賛成意見を述べた。
 理由は、「くじ」というと一見、自分が楽しむもののように思われるが、「トト」の場合はそれだけではなく、その収益による助成金でスポーツの環境の向上にずいぶん貢献しているから。でも、このへんがあまり知られていないのが寂しい。ご存知でしたか? 助成金がJOC(日本オリンピック委員会)などへの国際的スポーツ活動の支援だけではなく、身近な地域ですごく役に立っていることを。
 例えば、石ころだらけだった市の広場が緑のフワフワの芝生に変わったり、町の「健康ロード」にグラウンドゴルフ場ができてお年寄りを喜ばせている。
 以前、日本サッカー協会の川淵三郎会長が「日本の小学校の校庭がすべて芝生になれば、子供たちは自然に体を動かすようになる」とおっしゃっていたが、私もスポーツで一番大事なのは「環境」だと思う。
 アメリカに留学していたころ「アマゾンパーク」という広場があった。小さな森を囲む一周1600メートルの道におがくずが敷いてあり、コースの中に鉄棒や登り棒があった。小鳥がさえずり、木々の香り漂うなか、朝に夕に子供から大人までがやわらかな道を自分のペースで走る。その姿のなんと清々しかったことか。そんな「スポーツパラダイス」のような風景が日本にはまだ少ない。増えれば、人はスポーツを通して、良い風に触れ、香りに触れ、人に触れ、心が満たされる幸せにワクワクすると思う。
 トトが、そんなスポーツの明るい未来を応援してくれるのがうれしい。そして、今回、くじが生活の中に根付いたコンビニで発売されることで、よりスポーツが人々に身近なものになってくれれば…と思う。

(産経新聞/2003年4月18日掲載)

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