「学ぶこと」を楽しく−チーム・ティーチング−
白い花びらのような雪が舞う中、秋田県本荘市の子吉小学校を訪れました。地元テレビ局が制作する教育番組の仕事のためです。この学校は、文部科学省による新しい教育への取り組みの一環として、複数の先生が教える「チーム・ティーチング」を行っています。
さて、どんな授業なのでしょう?早速、5年生の算数の授業をのぞいてみました。あらっ、約40人の児童たち、机の向きがばらばらです。五つのグループができ、それぞれからガヤガヤとおしゃべりの声が聞こえてきます。そんな中を3人の先生が小走りするように動き回っているのです。わたしが子どものころの、黒板に向かって先生の話を静かに聞くという光景とは、随分と違っていました。
さらに驚いたのは、円の面積の求め方でした。各班が、方眼紙を使って数えたり、三角形や四角形から”変身”させて答えを出そうとしたり…。いろいろな考え方に、3人の先生が巡回してアドバイスをしています。
「円の面積って『半径の2乗かける3.14』じゃないんですか」と思わず尋ねてしまいました。するとある先生が「子どもたちの中から公式が生まれてくるんですよ」。今の算数は、公式に導くための「考える算数」になっているようです。
それにしてもリズミカルな、あっという間の45分の授業。それは次の体育の時間でもそうでした。ポップス系の音楽が流れ、子どもたちは10分間の縄跳びで体を温め始めました。それから6班に分かれてサッカーのパス、シュート、ゲームと、これまた実にスムーズな流れ。楽しそうに体を動かしているうちに、おしまい。皆、時間が足りない、という表情でした。
これらの授業は先生方の創意工夫のたまものでしょう。こんなふうに退屈させない、空気にリズムのある授業なら「学ぶこと」が楽しくなるんだろうなあ。これなら学力・体力の向上へ、自然につながると感じました。
(共同通信/2003年2月18日配信)
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