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おしゃべり散歩道2003

一日の計は晨(あした)に在り

 日ごろから「言葉ノート」というのを持ち歩いている。人との会話の中で面白い言葉にふれたり、読んだりすると書き留める私用のノート。最近では西郷隆盛を「正月の餅(もち)」にたとえた記事が面白かった。なぜ、彼が「正月の餅」かというと、彼に会った人は、放っておくとみなベタァーとくっついてしまうから。それほど、西郷隆盛という人は、魅力的で包容力があったらしい。
 「縷縷(るる)申し上げます…」と、ある会議で話し始めた人がいた。いい響き!でも「『るる』ってなぁーに?」。後で辞書を引いてみると「こまごまと述べるさま」とある。さっそく知ったかぶりして使いたくなってしまう。
 こんな私のことを知ってか、昨年のクリスマスに友人から栗田亘さんの著書『漢文を学ぶ』(童話社)が届いた。最初は「エッ、漢文?古くさーい」と思ったし、孔子、老子、孟子の区別もつかないので、近寄りがたかった。でも、すごくわかりやすく説明されている。何より、今という時代に置き換えても大きくうなずけるのだ。「漢文は考え方が骨太で、筋道が通っている」と栗田さんは書いているが、ホント、心を元気に引き締めてくれる。
 本の中に、「一日の計は晨(あした)に在り、一年の計は春に在り」とある。改めて2003年の年始め、今年は、ちゃんと計画的にいかなきゃ、と思う。同時に、計画は立てるだけでなく、しっかり実行に移さなきゃ、とも。
 今年は、より「世界」を知る年にしたい。世界の中で日本を見つめたときに気づくものが多いと思うから。そのためにはまず、その国の宗教と儀礼を学ぶべきかな。異文化を理解するときに、この二つは出発点になっていると思うし、日本を知るときに「神話」が欠かせないように、外国の「神話」をのぞいてみるのも面白いかも。「一年の計は…」に目ざめ、立てた計画。例年のように2月には忘れてしまうのではなく、一年を通してがんばらなくちゃ!

(産経新聞/2003年1月8日掲載)

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